「くりっく365」が有利って本当なの?

FXに興味がある人なら、「くりっく365」という言葉を一度は聞いたことがあるはずです。
「くりっく365」とは、FXの取引所取引ができる公的な市場の愛称。透明かつ公正にFX取引ができる場を提供することを目的に東京金融取引所が開設した市場で、現在、14のFX業者が参加しています。
一般のFX業者を通じた取引が「店頭取引」と呼ばれるのに対し、「くりっく365」に参加しているFX業者を通じた取引は「取引所取引」と呼ばれます。両者には、取引価格やスワップ、税制、証拠金保護の方法などでさまざまな違いがあります。
たとえば、取引価格。「くりっく365」の場合、複数の業者が取引所に提示する価格のうち、投資家にとって最も有利な価格を取引所が合成します。つまり、どの業者でも取引価格は同じということになります。
これに対し、店頭取引の場合、取引価格は業者ごとに異なります。業者によっては、売りと買いの価格の差(スプレッド)がかなり大きいところも。第4回「意外と知らない!? FXの手数料」でも述べたように、スプレッドは投資家にとって立派な手数料ですから、「くりっく365」に比べてスプレッドが大きければ、それだけ投資家にとっては不利ということになります。
スワップも然りです。店頭取引では、同じ通貨であっても、スワップを受け取る場合よりも支払う場合のほうが金額が高いのが一般的。この差額も、実はスプレッド同様、業者の手数料ということになります。
一方、「くりっく365」では、同じ通貨であれば、受け取る場合も支払う場合も同じ金額。つまり、中抜きがない分、投資家には有利ということになります。こうした点は、「くりっく365」の大きなメリットといえるでしょう。
ただし、すべての面において「くりっく365」が有利かというと、そうとはいえません。
「くりっく365」の最大のデメリットともいえるのが、通貨ペアが限られているということ。現在、「くりっく365」で取り扱われている通貨ペアは、米ドル/円やユーロ/円をはじめとする7通貨ペアのみ。しかも、すべてがクロス円です。
また、一般の取引業者の中には取引手数料が無料のところも増えてきていますが、「くりっく365」では、取引ごとに取引手数料がかかります。さらに、要・不要の議論はさておき、「くりっく365」では、レバレッジも最大20倍程度。100倍、200倍といった大きなレバレッジを効かせての取引は不可能となっています。
このように、「くりっく365」とそれ以外では、同じFX取引をするのであっても、さまざまな違いがあります。誤解してほしくないのは、「くりっく365」が公的な市場だからといってFXそのもののリスクが減るわけではないということ。「くりっく365」であっても、FXが本来抱えるリスクには変わりがありません。
また、「くりっく365」に参加していない=信頼できない業者、とは言えないことも覚えておきましょう。「くりっく365」に不参加であっても、しっかりと分別保管や信託保全を行い、厳正なルールのもとに取引を行っている業者は多数あります。
結局のところ、最終的にどちらを選ぶかは皆さんの「好み」ということになるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで上手に活用したいものです。
